今から約20年前、父が亡くなりました。熊本で水素ガス吸入療法を受けていましたので数年闘病生活をしていました。ですが、50台半ば。早すぎる死でその日は家族みんながおろおろしていました。
亡くなるとすぐ病院から、懇意にしている葬儀屋がなければ紹介します、と話があります。
それは遺体を葬儀会館、もしくは自宅に運ぶところから葬儀屋が仕切るからです。
私たちは知り合いに葬儀屋の方がいたので、すぐ電話をし、今からしなければならないことを的確に指示を頂きました。身内や会社に電話する、迎い入れる自宅での準備…初めてのことなので、言われるがままでしたが、時折声を掛けてくれる言葉で正気に戻ったものです。
遺体と共に自宅に戻り、すぐ打ち合わせが始まりました。まずは仏式・神前式・他宗教など宗派を確認されます。元々本家から離れた場所で生活していたので、新たに同じ宗派のお寺を探してもらい(戒名の値段が寺によってまちまちなので、住職の評判やお布施の金額などで決めました)葬式の規模・場所などカタログを見ながらプランを決めました。結婚式と違い、短い時間で決めなければならないので、悩む時間もありませんが、丁寧に、家族の気持ちを尊重して決めてくださいます。
通夜が始まると、家の中は様々な弔問客へ挨拶するのが手一杯ですが、次の日の葬式のことも決めなければなりません。遠くから来た親戚の宿の手配など、悲しみに暮れる時間はありませんでした。
翌日火葬・葬式と立て続けにあるので、もう後戻りはできません。ただ、無事に父を送り出すことに家族が集中して余裕がなかったように思います。そんな時葬儀屋の方が「こちらでどんな準備でもいたします。ご家族の方は亡くなったお父様のことだけ考えて送り出してあげてください、それは家族しかできないことですから。」と言われ、肩の荷が下りた気がしました。
その後お墓のこと、相続税のことまで面倒見て頂いて、葬儀という右も左もわからない初めてのことを丁寧に教えてくださった葬儀屋の方には本当に感謝しています。結婚式以上に失敗は許されない葬儀を仕切るのは本当に難しく、葬儀後もサポートしてくれる、家族や故人に寄り添った仕事だと改めて思いました。